足場先行工法に関するガイドライン

【1】制定の趣旨・目的

木造家屋等低層住宅建築工事における労働災害の防止については、昭和58年9月6日付け基発第483号による「木造家屋建築工事安全施工指針」等により労働災害防止対策の徹底を図ってきたところである。

一方、労働災害の発生状況をみると、木造家屋建築工事における労働災害の全建設業に占める割合は死亡災害、死傷災害とも増加傾向にある。

その内容をみると、死亡災害のうち墜落災害が毎年8割前後を占めておりさらに、墜落災害の内訳をみると、建方作業等におけるものが7割を占めていることから、死亡災害の防止のためには建方作業等における墜落災害防止対策の充実が重要となっている。

建方作業については、従来、足場を設置せずに、あるいは墜落災害の防止措置が不十分な足場による施工が多くなされていたところである。しかし、一方では木造家屋建築工事等において建方作業に先行して足場を設置し、建方作業を行う工法を採用し、墜落災害の大幅な減少を実現している事例もみられるところから、その普及徹底を図ることがこれらの工事における墜落災害の防止に最も有効であると考えられる。

このため、本ガイドラインは、当該工法の普及を促進し、建方作業等における墜落災害の防止の徹底を図るため、当該工法に係る具体的な足場の基準、施工手順、留意事項等について規定したものである。


【2】適用対象

本ガイドラインは、軒の高さ10メートル未満の住宅等の建築物(現場打設の鉄筋コンクリート構造の建築物を除く。)の建設工事に適用する。


【3】用語の意義

本ガイドラインにおける用語の意義は次のとおりとする。

(1)足場先行工法
建方作業開始前に足場の設置を行い、その後の工事を施工する工法をいう。
(2)二側足場
建地に前踏みと後踏みがある単管足場のうち、住宅等の建築物の建設工事に用いる足場をいう。
(3)ブラケット一側足場
建地にブラケット(持送り枠)を取り付けている一側足場をいう。
(4)建方作業
柱、梁、桁等の構造部材の組立てに並び小屋梁、小屋つか、母屋、棟木及び、たる木の取付けに係る作業をいう。

【4】施工計画

(1)事前調査
足場計画策定前に、敷地内の建築物及び建造物の設置状況並びに敷地周辺の道路、近隣の建築物、架空電線、樹木その他作業の障害となるものの状況について調査を行うこと。
(2)工程計画
基礎工事、建方工事、屋根地下工事(大屋根・下屋)、ベランダ取付け工事等の作業の順序及び日程を調査の上、足場の設置及び変更並びに控えの取付けについての工程計画を作成すること。
(3)足場計画
敷地、建物の形状、移動式クレーンの能力、ジブの旋回半径等から足場の設置位置に及び構造を決定し、足場計画を作成すること。
足場計画に基づき足場の使用部材量を確認するとともに、各部材については適切な経年管理が行われた良好な部品を準備すること。
(4)作業計画
各職別工事業者と作業方法、足場の一部変更の手順等について打ち合わせを行い、作業計画を作成すること。
移動式クレーンによる作業方法等について作業計画を作成すること。
(5)仮設設備計画
足場計画の確定後に、足場組立作業及び移動式クレーンを使用する建方作業に支障のないように架空電線の絶縁用防護管の設置、仮設電柱、仮設トイレの設置等の仮設計画を作成すること。
(6)安全衛生管理計画
足場の組立てから解体までの各工程に応じた労働災害防止対策及び足場の保守管理について、安全衛生管理計画を作成すること。

【5】足場の構造等及び組上げ方法

(1)足場の種類
足場は二側足場とすること。ただし、敷地が狭あいな場合等二側足場の設置が困難な場合には、ブラケット一側足場等とすることができる。
足場は、全周を完全に組み上げるものとすること。ただし、建方作業のため、全周にわたって完全に組み上げることが困難な場合には、必要最小限において一部開放の構造とすることができる。この場合、建方作業後速やかに全周にわたって完全に組み上げるものとすること。
(2)外壁と作業床の間隔及び墜落防止措置
建方作業及び外壁施工前
足場からの墜落を防止するため、足場は建築物の外壁位置と足場の作業床の端とができるだけ接近した位置となるように設け、足場には手すりを設けること。前手すりを設けることが困難な場合には労働者に安全帯を使用させること。
外壁施工後
建築物と足場の作業床との間隔は、30センチメートル以下とすること。
30センチメートル以下とすることが困難な場合には、ネットを設け又は労働者に安全帯を使用させる等墜落防止のための措置を講じること。
(3)敷板及び敷盤等
足場には敷板を用いること。ただし、地盤の不等沈下のおそれがない場合には敷盤等を使用することができる。
敷盤は24センチメートル×24センチメートル以上の大きさとし、材料は十分な強度を有するものとすること。
足場の設置期間中に不等沈下が見られる場合には、ジャッキ型ベース金具等による調整を行うこと。
(4)根がらみ
根がらみは、できる限り低い位置に設置すること。
根がらみをはずした開口部等がある場合には、筋かい等で補強すること。
(5)地上第一の布
地上第一の布は、2メートル以下の位置に設けること。ただし、建地を二本組にした足場及び隣接する面が緊結されている構造の足場については、2.3メートル以下の位置に設けることができる。
(6)布の間隔
布の間隔は、2メートル以下とすること。
(7)壁つなぎ又は控え
建方作業前の足場には各面に控えを設けること。敷地が狭あいで控えを設けることが困難な場合には全周を緊結した構造とすること。
建方作業後は、各面に控えを設けた足場以外の足場にあっては、足場の全周を完全に組み上げ、各面を相互に緊結するとともに、速やかに各面に壁つなぎを設けること。
建築物の構造等により壁つなぎを設けることが困難な場合には、火打ち及び圧縮材等を設け、かつ、足場の一面の長さが長い場合には頭つなぎを設けて足場を補強すること。
(8)筋かい
足場には、各面におおむね45度の傾きの筋かいを全層及び全スパンにわたって設けること。
(9)作業床
足場には、40センチメートル以上の幅の作業床を設けること。ただし、ブラケット一側足場であって40センチメートル以上の幅の作業床を設けることが困難な場合には、24センチメートル以上の幅の作業床とすることができる。
作業床の床材間のすき間は、3センチメートル以下とすること。ただし、ブラケット一側足場の場合には、5センチメートル以下とすることができる。
(10)手すりの取付位置
作業床の手すりの高さは、75センチメートル以上とすること。
(11)昇降設備
足場には階段を設けること。
階段の踏面は等間隔で設け、その幅は20センチメートル以上、けあげの高さは30センチメートル以下とすること。
(12)屋根からの墜落防止
屋根からの墜落防止のため、足場の建地を屋根の軒先の上に突き出し、その建地に手すりを設けること。
手すりは、軒先から75センチメートル以上の高さの位置に設け、かつ、中さんを設けること。
軒先と建地との間隔は30センチメートル以下とすること。
屋根勾配が6/10以上である場合又はすべりやすい材料の屋根下地の場合には、20センチメートル以上の幅の作業床を2メートル以下の間隔で設置すること。
(13)シート等
足場先行工法においては、建方作業後壁つなぎ等による足場の補強が完了するまでシート等を設置してはならないこと。
建方作業後は、屋根及び足場の作業床等からの材料、工具等の飛来落下による災害を防止するため、シート等を設置することが望ましいこと。
シートを設置する場合には、シートの自重及び風荷重を考慮して足場を十分に補強すること。
シート等は、足場の建地、布等の間隔に応じた寸法のものを使用すること。
シートは、すべてのハトメで容易に外れないよう足場に緊結すること。
シートは劣化したもの、破損しているもの等は使用してはならないこと。

【6】足場の設置

(1)設置時期
足場は、基礎工事、埋め戻し及び地ならしが終了した後、建方作業の開始前に設置すること。
(2)足場の組立て
足場を組み立てる前に、部材の著しい損傷、変形、腐食等の有無を確認し、異常がある場合には適正なものに交換すること。
足場計画等に基づき、作業の方法、作業手順等を確認しながら組み立てること。
足場の倒壊防止のため、仮り付けの控え等を設けながら組み立てること。
移動式クレーンの位置及び建物の形状を図面で確認し、足場が建築物に接触したり、クレーン作業で邪魔にならないように組み立てること。
(3)足場の変更
工程の進展に伴う建物の形状の変化に合わせ、下屋足場の設置等を速やかに行うこと。
作業の都合上、足場の一部を変更する場合には、足場を使用する労働者の安全を確保するとともに、作業終了後は必ず復元を行うこと。復元が困難な場合には、速やかに当該工事を施工する工務店、足場工事業者等に連絡すること。

【7】建方作業

(1)
建方作業において移動式クレーンを使用する場合には、足場や架空電線との接触を防止するため合図の徹底等を行うこと。
(2)
足場の作業床に手すりを設けることが困難な場合等墜落のおそれのある場合には、建方作業に従事する労働者に、安全帯を使用させること。
(3)
建築物内部への墜落を防止するため、2階梁を設置後速やかに墜落による危険を防止するためのネットを張り又は2階床の施工を行うこと。